【はじめに】
小学校受験は非常に個別性が強く、子どもの性格や生活環境も十人十色ですし、男女差や志望校の違いなども一般化しづらい分野となっている理由かと思います。小学校が重視するポイントや考査内容も年々変わってきている点も、「〇〇しておけば大丈夫」といった対策を立てにくい部分でもあります。
それでも、小学校受験の対策を目的に出版された書籍の中で繰り返し取り上げられているポイントは、個別の学校対策や子どもや家庭の違いによらず、根本的かつ普遍的に重要な部分と言えます。
他方で、共通したポイントが取り上げられている場合でも、それに対するアプローチやアイディアは対策本によりバラバラです。それが各書籍の付加価値となっているのですが、受験対策を実践する立場からすると、時間が限られている中で、断片的な情報ではなく、より体系立てられた情報が欲しいところでもあります。
このような趣旨から「小学校受験対策本25冊をまとめてみた」というシリーズにて、先人の知恵をお借りしつつ、受験対策のみならず心得ておくべき生活習慣などといったトピックについて可能な範囲で体系化を試みたいと考えております。
今回は「ペーパー学習を成功させる工夫」というテーマで書いていきます。
Contents
工夫①:朝に取り組む
ペーパーの時間は朝に設定するのがおすすめです。
体調的にも集中力を保ちやすく、兄弟がいる場合には起きてくる前に取り組めば余計な邪魔が入る心配もありません。夕方では、幼稚園・保育園から帰宅後、幼児教室や他の習い事等、曜日によって忙しい日もあるかと思いますので、まとまった時間を確保するという観点からも朝にペーパー学習を行うのが効率的と言えます。やる気が起きた時に取り組むのではなく、当たり前に机に向かう習慣付けを行ってしまうことが継続が求められるペーパー学習には重要と言えます。
朝の時間はたとえ数十分でもとても貴重かと思います。でも頑張って早起きをして習慣化するメリットは非常に大きいです。まずは15分、慣れてきたら30分の朝学習を是非取り入れてみてください。
朝に子供が勉強に集中するためのアドバイスをいくつかご紹介します。朝は新鮮な気持ちでスタートできる時間帯ですので、効果的に活用することが大切です。
- 十分な睡眠: 子供にとって十分な睡眠は非常に重要です。十分な睡眠を確保し、目覚めたときにすっきりとした状態でスタートできるように心がけましょう。
- 朝のルーティンの確立: 朝のルーティンを確立することで、子供が自然と勉強に集中しやすい状態を作ることができます。同じ時間に起きて、朝食や身支度を整える習慣を作りましょう。
- 朝食の重要性: 栄養バランスの取れた朝食を摂ることで、エネルギーを補給し集中力を高めることができます。栄養価の高い食事を提供しましょう。
- 集中しやすい環境の整備: 子供が集中しやすい環境を整えましょう。片付いた机や静かな場所で勉強できるように心がけます。
- 目標を設定: 朝に取り組むべき課題や目標を設定しておくことが集中力を高めます。具体的な目標を持って取り組むことで、やる気が高まるでしょう。
子供の個性や状況に合わせて、最適な方法を見つけることが重要です。朝の時間を効果的に活用して、子供の勉強の習慣を育てていきましょう。
工夫②:時間を測る
朝の学習時間を設定したら時間を測って取り組みましょう。子どもの集中力持続は限界がありますので、ダラダラと取り組むのではなく、時間を区切って短期集中で取り組むことが大切です。
「毎日ペーパー10枚取り組む!」といったように、枚数をペーパー学習のノルマに設定しているご家庭も多いのではないかと思いますが、ペーパーの難易度や1枚あたりの分量に左右されますので、時間で目標設定してあげた方がペーパー管理の観点からも子どもの集中度合いとしても良いかと考えます。
30分という時間がやや長いのであれば、6-7分ずつ時間を区切って場合によっては休憩を挟みながら進めるのも良いでしょう。
時間の測り方はキッチンタイマーでも良いですが、30分の砂時計を用意してあげると感覚的に時間を把握できて、30分継続するモチベーションにも繋がると思いますので、おすすめです。
工夫③:横並びで一緒に取り組む
繰り返しにはなりますが、朝の時間は貴重です。親も身支度をしながら、或いは朝ごはんを作りながらペーパーを進めたいと思うかもしれませんが、是非隣に座って一緒に取り組んであげましょう。
子どものタイムマネジメントをしっかり行うという観点でもそうですが、丸つけや解説もタイムリーにしてあげることで学習の効率がグッと上がります。また、親が隣にいてくれるという安心感の元で学習できるという心理的な効果もあります。
工夫④:集中している時にはむやみに話しかけない
隣でペーパーに取り組んでいるとあれこれと口を挟みたくなるものですが、そこはグッと我慢です。話しかけた瞬間から、注意は目の前の問題から親の声に切り替わってしまいます。問題に向き合っている最中はひたすら見守ってあげましょう。
難しくて時間がかかったけれど、自分ひとりでできた!!
この前教えてもらったことを思い出しながら解けた!!
という独力で正解したという自信は、子ども自立心を高めることにも繋がります。
工夫⑤:発問を省略しない
ペーパー問題の多くは、問題文の読み上げが必要になります。特定の単元の学習の場合、同じような問題が続く中で長い発問を省略してしまいたくなるものですが、問題文の通りそのまま読み上げてあげることが大切です。
小学校受験の場合、問題を解けるかどうかという点に加えて、問題を聞いて内容を理解して指示通りに解答できるかどうかという点が非常に重要になります。長い問題文の中で集中力を切らさずに問題を把握しつつ、解答は○なのか△なのか聞き取り、問題を解いている間に忘れないように記憶しておく(或いはペーパーのどこかに小さくメモしておく)練習はたくさん積んでおくに越したことはありません。
工夫⑥:得意分野7:不得意分野3の割合で取り組む
ペーパー学習の中で苦手な分野をずっと勉強し続けた場合、自信を失ってしまう、或いはやる気を失ってしまうリスクがあります。
特に、こぐま会の「ひとりでとっくん100」等は分野別問題集ですので、苦手分野克服のために1冊30枚を通しで勉強した場合、より苦手意識が増幅してしまう可能性があり注意が必要です。
ですので、1回のペーパー学習で苦手分野は多くても30%程度に抑えておき、得意分野とセットで取り組むことでペーパー問題に苦手意識を植え付けない工夫をしましょう。説明してみてもほとんど理解できないような単元であれば、思い切って後回しにしてしまっても良いでしょう。時間を掛けて苦手分野を作ってしまっては良いことはありません。その代わりペーパー時間以外で具体物を使いながら遊び感覚で導入の時間を作ってあげられればベストです。そのための教材としては「ひとりでとっくんおけいこカード」などが挙げられるかと思います。
工夫⑦:楽しみながら取り組む
多くの子どもにとってペーパー学習は楽しいものではありません。その中でいかに楽しい要素を作り出せるかが家庭の力と言えます。
毎日決まった時間に取り組むことは習慣化として有益である一方で、単調になりがちです。是非マンネリ化を避けるべく、ゲーム性を取り入れてみましょう。
ルーレットを回して出た目の数の枚数の問題を解くといった取り組みや、応用問題を解く場合には
この問題はラスボス問題だからラスボスを倒したら、今日のおやつは特別にショートケーキね!
といった声掛けも良いでしょう。また、どのペーパー問題に取り組みたいか選択肢を与えて子どもに選ばせれば、より主体性が高まる効果も期待できます。
あくまで単調化を避けるためのスパイスですので、あまり多用する必要はありませんが、こういったアイディアを考えてストックしておくことが長期にわたるペーパー対策には役立ちます。
工夫⑧:取り組んだ成果は可視化する
モチベーション維持の観点から、目標を子どもと一緒に設定して日々の成果は目に見えるようにします。そのためにはペーパーの取組状況については記録を取っておくことが大切です。手元管理のためのものですので、何でも良いと思います。
ペーパーの後にご褒美シールをあげるという方法でも良いですし、ペーパーの取り組んだ枚数を色塗りしていく、などなど、子どもと話し合ってその子のモチベーションに繋がるような工夫を見つけられればと思います。
工夫⑨:無理強いをしない
ペーパーに対するモチベーションが低くなったり、どうしても嫌になってしまう時期がきっと出てくると思います。でも、その時に机に向かわせようと強制してしまえば、もっとペーパー嫌いになってしまう可能性があります。また、親子関係にヒビが入ってしまうリスクもあります。
その時には焦らずペーパー問題と距離を置き、机に向わずにできる取り組みに時間を割きましょう。鉛筆を持たずに具体物で楽しみながら学ぶということも逆に視野が広がって良い結果を生むかもしれません。
ペーパーで一番大事なことはモチベーションです。やらされ感のあるペーパーでは学習効果は低いです。
工夫⑩:徹底的に復習する
ペーパー学習の定着には復習が欠かせません。
幼児教室でペーパーの取り組みがあった場合には、当日或いは翌日には復習を行うようにしましょう。
ドイツの心理学者エビングハウスが発表した「エビングハウスの忘却曲線」では24時間後には約70%の記憶が失われると言われていますので、復習は翌日までがベストです。その後も2回目、3回目と定期的に復習することが重要となります。
以下の記事では「ペーパーの効果的な進め方」として効果的な復習を取り上げていますので是非参考にしてみてください。
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