【はじめに】
小学校受験は非常に個別性が強く、子どもの性格や生活環境も十人十色ですし、男女差や志望校の違いなども一般化しづらい分野となっている理由かと思います。小学校が重視するポイントや考査内容も年々変わってきている点も、「〇〇しておけば大丈夫」といった対策を立てにくい部分でもあります。
それでも、小学校受験の対策を目的に出版された書籍の中で繰り返し取り上げられているポイントは、個別の学校対策や子どもや家庭の違いによらず、根本的かつ普遍的に重要な部分と言えます。
他方で、共通したポイントが取り上げられている場合でも、それに対するアプローチやアイディアは対策本によりバラバラです。それが各書籍の付加価値となっているのですが、受験対策を実践する立場からすると、時間が限られている中で、断片的な情報ではなく、より体系立てられた情報が欲しいところでもあります。
このような趣旨から「小学校受験対策本25冊をまとめてみた」というシリーズにて、先人の知恵をお借りしつつ、受験対策のみならず心得ておくべき生活習慣などといったトピックについて可能な範囲で体系化を試みたいと考えております。
今回は多数の本で取り上げられている「父親の役割」について書いていきます。
Contents
小学校受験では父親の関わり方が重要
幼児教室での送り迎えや、学校説明会の参加状況を見ると、以前よりは父親の参加率が高まっているようではありますが、まだまだ母親が小学校受験において主導的な立場であることは変わりません。そのような状況にも関わらず、以下のように「受験の合否は父親の関わり方が左右する」ということがよく言われます。
小学校受験を笑顔で終えたご家族を見ていると、お父さまがお子さんと上手に関わっていらっしゃるように思います。
『親子で楽しむ小学校受験 目指せ!名門校合格』/高木 宏子 (著)
受験が失敗に終わるか成功するかは、お父さんがどこまで積極的に関わったかが大きな意味を持ちます。
『わが子を名門小学校に入れる法 』/清水 克彦 (著)
感覚的にも、難関校と言われる学校に合格した家庭は父親の関与度合いが高いように思われます。
文章を書くのは得意だから願書の作成は僕がメインでやっていました!
ペーパーの管理を含め、毎朝のペーパー学習は僕が担当でした!
といった声が多く聞かれました。
父親の役割が重要な理由
なぜ父親の役割が重要かというと、大きく以下の3点が挙げられます。
身体を使った遊びを通して子ども成長をサポートできる
母親は外遊び等で安全重視であり、周囲のママ友の目を気にしてしまう傾向がある一方で、父親が相手をしているとよりのびのびと遊ぶことができます。過度な制約がなく、ノビノビと遊ぶことは子どもの心身の成長にとって大切で、そのような経験を多く積んだ子どもは、受験期後半にかけて能力が飛躍的に伸びるケースが多くあります。
自然な褒め方ができる
どうしても父親の方が子ども接している時間が少なくなるということはやむを得ないことです。平日は子どもとの時間を十分に取れないという方も多いのではないでしょうか。
接する時間が短く、程よい距離感を持つ父親の方が客観的に子ども成長を感じることができ、かつ楽観的かつ冷静な立場でいることで子どもに対して自然な褒め言葉が出てきます。他方で、毎日の家庭学習のメイン担当が母親の場合には、目の前の問題に追われたり、幼児教室の他の子どもと比較してしまい、悲観的になってしまうことも多いでしょう。父親は、子どもの成果、そしてそれを支える母親の日々の頑張りを認めてあげる、これだけでも大きな役割があると言えるでしょう。
願書・面接で父親の関与が重視される
受験本番でも父親が果たす役割はより重要視される傾向にあります。子育てを母親に任せきりにしていないか、子供に関して無関心でないか、そういった点が問われてきます。受験本番だけ取り繕おうとしても、多数の家庭の面接を行っている面接官の先生には、願書や面接を通して簡単に見抜かれてしまいます。
いかに父親を巻き込むか
ただ、小学校を受験する子どもを持つ父親は30代が最も多く、「働き盛り」であることが多く、人生で最も忙しい時期と言えるかもしれません。
しかし、小学校受験では父親の役割が重視され、母親の頑張り以上に父親の関わり方は大きな差がつくと言える中で、上手く巻き込みながら受験準備を進め、受験本番を迎えたいところです。
では、どうするか。
『小学校受験バイブル―――賢い子育てをするために』では、「家事・子育てに夫を巻き込む七つのテクニック」として以下の7点が記載されています。
テクニック①:タイミングを見てお願いする
テクニック②:具体的な指示を一度に一つだけ
テクニック③:モチベーションが上がる言葉選び
テクニック④:結論から話す
テクニック⑤:自分のルールを押し付けない
テクニック⑥:役割を習慣化させる
テクニック⑦:心のこもった感謝の言葉を忘れない
『小学校受験バイブル―――賢い子育てをするために』/二宮 未央(著)
大事なのは対等な立場で一緒に計画を立て、実行していくということでしょう。決定済の計画をトップダウンで「〇〇と■■はお願いね」と言われてもモチベーション高く取り組める父親は少ないかと思います。家族で話し合いの機会を多く持つこと、全体的な教育観や個々の戦略を一緒に考え、日々摺り合わせを行っていくことが重要です。
夫婦で得意分野・苦手分野はそれぞれあるでしょうから、互いに尊重しながら家族一丸となって長期戦である受験に向かっていく、このような時間は合否という結果以上に大切かもしれません。
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