【はじめに】
小学校受験は非常に個別性が強く、子どもの性格や生活環境も十人十色ですし、男女差や志望校の違いなども一般化しづらい分野となっている理由かと思います。小学校が重視するポイントや考査内容も年々変わってきている点も、「〇〇しておけば大丈夫」といった対策を立てにくい部分でもあります。
それでも、小学校受験の対策を目的に出版された書籍の中で繰り返し取り上げられているポイントは、個別の学校対策や子どもや家庭の違いによらず、根本的かつ普遍的に重要な部分と言えます。
他方で、共通したポイントが取り上げられている場合でも、それに対するアプローチやアイディアは対策本によりバラバラです。それが各書籍の付加価値となっているのですが、受験対策を実践する立場からすると、時間が限られている中で、断片的な情報ではなく、より体系立てられた情報が欲しいところでもあります。
このような趣旨から「小学校受験対策本25冊をまとめてみた」というシリーズにて、先人の知恵をお借りしつつ、受験対策のみならず心得ておくべき生活習慣などといったトピックについて可能な範囲で体系化を試みたいと考えております。
今回は「外遊びの時間を大切にする」というテーマで書いていきたいと思います。
Contents
なぜ外遊びが大切か
基礎体力が身につく
小学校受験ではサーキット、模倣体操、クマ歩き等が課せられますが、普段の外遊びにより基礎的な体力を身につけることができます。
例えば、クマ歩きでは腕の力、脚の力、つま先の力がそれぞれバランス良く身についていないとスムーズに行うことができません。その体力は一朝一夕で身につくものではありません。
そういった体幹を自然と鍛えられるのが外遊びです。受験準備は長期戦ですし、受験期のスケジュール等を考えてもそれに耐えうる体力をつけておくという観点でも重要となります。
集団の中でのコミュニケーションの力やリーダーシップが養われる
小学校受験の行動観察では、協調性や積極性等が評価項目となることが多いですが、外遊びを通してそういった力が自然と身につきます。どういう遊びをするか、子ども自身が積極的に考えたり、他の子どもたちと遊びのルールを決めるために話し合いをすることにより、集団生活での力が養われます。また、集団で遊んでいる中で、意見が合わない場面が必ず生じてきますが、そういった「ハプニング」に対応する力も身についていきます。
行動観察は幼児教室でも授業があり、特訓の場とすることはできますが、日々の外遊びからの学びの方が圧倒的に大きいと言えます。
精神面の安定に繋がる
幼児教室通いや家庭学習でスケジュールが埋め尽くされてしまいがちですが、子どもにも息抜きの時間が必要です。小学校受験を検討していないお友だちが公園で楽しく遊んでいる傍ら、机上での勉強ばかりさせるのは酷なものです。外遊びの時間を確保することで生活にメリハリができますし、外で身体を動かすことは子どもの集中力に好影響を与えると言われています。
外遊びをする上で大切にしたいこと
親が干渉し過ぎない。見守るという意識を持つ
受験で「ケンパ遊び」や「ボールつき」が重視されるからといって、その遊びを強要するようなことがあってはいけません。前述の通り、外遊びは子どもにとって重要な息抜きの時間だからです。
小学校受験の予定はないお友だちと遊ぶ機会も多いでしょうから、自由な遊びをさせてあげるのが良いかと思いますので、親の干渉は最低限に留め、「見守る」という姿勢を意識的に持つようにします。
遊び方を強要するのではなく、自然と仕向ける
ただ、親としては貴重な時間を充実したものにしてほしいものです。その点で以下のような工夫をしてみるのが良いかもしれません。
【工夫1】お友だちとの間でルールを決めた上で遊ぶようにアドバイスする
小さな子ども同士で遊ぶ場合、事前にルールが決めずに遊び始めてしまうことが多いように思われます。そうではなく、事前にお約束した上で遊び始めるように子どもに伝えてみると「より充実した遊び」ひいては「より充実した学び」になると思います。
行動観察でも、事前にルールを決める話し合いの機会もあるかと思います。何より、事前にルールを話し合う、一度決めたルールに従うという習慣付けは受験対策という域を超えて重要な意味を持つように思います。
【工夫2】ボールや縄跳びをプレゼントする
遊び道具を買ってもらえて、新たな遊びができるようになれば、大抵の子どもは嬉しいものです。
ボールつきの練習をしなさい!!
と言っても逆にやる気を失う可能性が高いですが、プレゼントとして受け取れば自発的にやってみようと気になる可能性が高まるように思います。
ボールについてはドッジボール1号、縄跳びはビニール製ではなく縄が受験本番で使用されることが多いので、これらを買ってあげるのが一番でしょう。
基本的な行儀や挨拶はできるように教える
遊び方そのものに対する口出しは極力控えたほうが良いですが、遊びにおいても最低限の行儀や挨拶はできるように仕向けます。
特に、一緒に遊んでもらった大人や遊び道具を貸してもらったお友だちに対して、自然と感謝の言葉が出てくるようになることが大事です。
『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子(著)に以下のような記載があります。
子どもは身近な存在を手本にして、同じような動作や行動をします。 子どもが「ありがとう」を言えないとき、「ありがとうは?」と 無理強いするのではなく、親が一緒に言ったり、 ふだんからまわりに「ありがとう」と伝えることを習慣にし、お手本になります。
『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子(著)
筑波大学の社会心理学者、相川充教授らの研究では、子どもに感謝のスキルを教えると、 感謝の心が後から育ってくることがわかっています。 「(学校や家庭では) 目に見えない感謝の心を教えることが推奨されるが、 目に見える感謝のスキルを教えるほうがいい」と相川教授は勧めています。
『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子(著)
子どもに「ありがとう」「ありがとうございます」と言わせるのではなく、大人が率先してそういった姿を見せること、また「感謝の言葉」が「感謝の心」が育てるという点からも感謝を伝えられるようにしておくことが大切です。
決まった時間に就寝し、睡眠時間を確保する
外遊びを充実させると、帰宅した後にはヘトヘトに疲れていることでしょう。家庭学習でやることは尽きないと思いますが、「寝る子は育つ」の言葉通り、睡眠時間を確保することも重要です。
4-6歳児が必要な睡眠時間は、10-11時間と言われておりますので、逆算すると20時には就寝したいところです。
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