【はじめに】
小学校受験は非常に個別性が強く、子どもの性格や生活環境も十人十色ですし、男女差や志望校の違いなども一般化しづらい分野となっている理由かと思います。小学校が重視するポイントや考査内容も年々変わってきている点も、「〇〇しておけば大丈夫」といった対策を立てにくい部分でもあります。
それでも、小学校受験の対策を目的に出版された書籍の中で繰り返し取り上げられているポイントは、個別の学校対策や子どもや家庭の違いによらず、根本的かつ普遍的に重要な部分と言えます。
他方で、共通したポイントが取り上げられている場合でも、それに対するアプローチやアイディアは対策本によりバラバラです。それが各書籍の付加価値となっているのですが、受験対策を実践する立場からすると、時間が限られている中で、断片的な情報ではなく、より体系立てられた情報が欲しいところでもあります。
このような趣旨から「小学校受験対策本25冊をまとめてみた」というシリーズにて、先人の知恵をお借りしつつ、受験対策のみならず心得ておくべき生活習慣などといったトピックについて可能な範囲で体系化を試みたいと考えております。
今回は「合格する子どもの特徴」というテーマで書いていきます。
際立った個性や特技があるという場合を除けば、精神年齢が高い子どもが合格を勝ち取る可能が高いと言えます。家庭での教育や躾の結果としてどの程度の年齢相応以上の精神年齢を有しているかという点を、行動観察を中心に様々な試験項目により評価されます。
では、精神年齢が高いとはどういうことなのか、以下ではより具体的に記載します。
Contents
【特徴①】周りとの協調性が高い子ども
周囲の人にきちんと挨拶をして、相応しい言葉で話ができるというのは基本中の基本ですが、入試本番では大きな評価ポイントとなります。
お教室での集団行動の授業で、
大きくなったら何になりたいですか?
という定番の質問をされた時に、
サッカー選手ー!
と答えている子と
ケーキ屋さんです。なぜかというと、私が作る美味しいケーキで周りの人を笑顔にしたいからです。
と丁寧語を使って明朗快活に受け応えをしている子がいましたが、もしこれが本番であったら、結果は言うまでもありません。
たった1問の質問でも、家庭での取り組みや躾の状況が透けて見えてきます。
また、体操等の科目では他の子どもが発表している時間をじっと待っていなければいけないというケースもあります。自分の出番だけ考えていればよいというのではなく、他のお友だちの発表を見ながら静かに待っているという「けじめ」も差がつく部分です。
【特徴②】自分のことは自分でする自立心を持った子ども
小学校入学までは両親との時間が長く、何か困ったことがあっても両親の手助けで解決してしまうことも多いと思います。
しかし、小学校入学後は、基本的には教室での集団行動では自分のことは自分で責任を持って行うことが求められます。分からないことがあれば、自分で先生やお友だちに聞く必要がありますし、自分の持ち物は自分で管理することは勿論、困ったことやトラブルがあった場合には先生に報告・相談を行う必要があります。
そのため、小学校受験にて、そのような自立心を持っているかどうかが問われるということは至極当然のことと言えます。
【特徴③】落ち着いて話を聞き、指示を正確に理解できる子ども
先生方からの指示を正確に聞き取り理解する力は、ペーパー・行動観察・体操・絵画制作・本人面接の全ての結果に影響します。
どんなに絵画の出来が良く、運動能力やペーパーの成績が優れていても、お題に沿った内容で無ければ大幅減点は避けられません。
試験問題は一度しか説明されないことも多く、複雑な指示であっても集中して内容を把握する力を普段の生活・家庭での試験対策でも養っていく必要があります。
【特徴④】嫌なことがあっても折れないたくましさを持った子ども
何かにつまづいてしまったときに簡単に諦めて投げ出してしまう子どもと、「悔しい!」という気持ちを持って再挑戦しようとする子どもとに分かれます。
小学校受験の問題は、生まれてから馴染みのない問題、5-6歳の子どもには全く初めての事柄ばかりです。粘り強く取り組める子、今は分からなくて努力することで分かるようになるということ、そしてその「分かる喜び」を知っていることは小学校受験を乗り切るという観点で重要です。
学校側も、小学校入学後の伸び代という観点からそのようなたくましさを持った子どもを入学させたいという方針を明確に持った学校が多く、行動観察や面接等で様々な角度で「たくましさ」をチェックしてきます。
【特徴⑤】「自分はできる!」という自信に満ち溢れた子ども
ジャックが合格する子どもの特徴として挙げているのが「自分はできる」という思い込みを持っているということです。
長年の教育で、どんな子が合格するのかをひと言で表すことができることに思い至りました。それは「良い〝固定観念〟、すなわち良い〝思い込み〟をいっぱい持っている子」です。
(中略)
事実はどうであれ、「自分は強い」「自分は速い」という思い込みをさせると、あとから本当の強さや速さがついてくるということ。学習も同じです。「自分はできる」という気持ちにさせてやることが、実はとても大切なのです。
『ジャック 驚異の合格率の理由がここにあります!』/大岡史直 (著)
根拠はなくとも上記のようなポジティブな思い込みを持っていると、積極的かつ前向きに取り組むことができます。それは、ペーパー・絵画・体操・巧緻性の全てで重要な姿勢となります。
特徴①〜⑤に共通すること
いずれの要素も、幼児教室ではなく、家庭での役割が大きいという点で共通しています。
【特徴①】の周りとの協調性では、日常的な躾やマナーの指導が問われます。【特徴②】の自立心では、家庭にて子どもを子ども扱いし過ぎるすることなく、一人の人間として独力で取り組むことを大切にしているか、【特徴③】指示の正確な理解に関しては、家庭でのコミュニケーションのあり方、【特徴④】たくましさについては、簡単には諦めさせず、見守る姿勢を両親が持っているか、【特徴⑤】の自信という観点では、前向きな声掛けが家庭で実践できているかという点が重要となります。
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